プラ製の寝室

ピンクの壁、ゴールドの額縁、アーケードゲームの筐体、中央の硝子に覆われた回転式ベッドでねころぶ私と隣のひと。長方形の窓の向こうには今にも落ちてきそうな満月がみえている。満月は鈍く光り、クレーターの模様が色濃くおどろおどろしい。満月はもう地球すれすれのところまで落ちてきて、空に浮かんだ人工の月がその衝撃を吸収して砕け散った。銀とネオンピンクの光に包まれて、人工月面にそびえたつビル群も一緒に砕けて消えた。満月はギリギリのところで軌道修正して私たちから遠ざかっていき、私たちはその光景を窓から眺めていた。満月の姿が小さくなったのを見て胸を撫でおろした。ここまでが夢の話。